2021/02/06(土)Mageia 8 rc リリース

Mageia 8 rc がリリースされました。

ISO イメージは rc ではライブ版とインストール版(Mageia では "クラシック インストール版" と呼んでいる)が提供されています。
ライブ版では GNOME(64bit), Plasma(64bit), Xfce(64bitと32bit), の3種類のデスクトップ環境が提供されています。
インストール版では64bitと32bitの両方が提供されています。Mageia 8 でも32bit版のサポートが継続されています。

Mageia 8 の正式リリースは2月中に予定されています(現時点では正確な日付は未定)


Mageia 8 のフューチャーなどはリリースノートで確認して頂くとして、ここではインストール版を用いて VirtualBox 上にインストールした環境での日本語廻りで気が付いた点などを書き連ねてみます。デスクトップ環境は Plasma です。

  • 日本語入力関係についての構成は 7 の時と変わっていません。すなわち日本語入力に利用可能な主なインプットメソッドは下記になります。デフォルトが ibus-mozc なのも 7 と同様です。

    • ibus-mozc
    • ibus-anthy
    • uim-anthy
    • uim-skk

    リポジトリでは fcitx のパッケージは提供されていますが、fcitx-mozc 等の fcitx 上で利用可能な日本語入力環境は一切提供されていません。それでも「ibus-mozc が使えれば必要十分」というユーザーであればこれで何ら問題は無いかもしれません。

    しかし上記以外の日本語入力環境、とりわけ「fcitx を使用したい」という場合には、自力でなんとかする必要があります。率直に言って、fcitx または fcitx5 を用いて日本語入力したいと考えている人は、他のディストリビューションを選択した方が苦労が少ないし幸せになれると思います。

  • fcitx5 は提供されていません。

  • ibus のバージョンは 1.5.23 へ更新されています。

  • mozc のバージョンは 2.25.4190.102 に更新されています。ソースパッケージを確認してみたのですが、これは Fedora rawhide のパッケージをほぼそのまま流用して Mageia 上で再ビルドしたものです。

  • 初期状態では mozc-tools パッケージはインストールされていないので、ユーザーによるインストールが必要です。

  • anthy は 7 と同じく UTUMI さんが公開されている anthy-9100h-20110409ut を用いてビルドしたものが提供されています。

  • Mageia コントロールセンター の [システム] → [システムの言語を設定] では、インプットメソッドの選択肢に fcitx が存在しません。


  • 7 の Plasma 環境ではデフォルトで Input Method Panel (kimpanel) ウィジェットがインストールされていましたが、8 rc ではインストールされておらず、下図のようにシステムトレイに ibus のアイコン(ステータスインジケーター)が表示された状態になっています。

    plasma-5.20-kimpanel-default.png

    そこで kimpanel を追加してみましたが、ibus のアイコンが表示されません。(それ故デフォルトでは kimpanel がインストールされていないのか?)
    どうやら 8 の Plasma 5.20.4 では、kimpanel に ibus のアイコンを表示させるためには、ibus-daemon に --panel オプションを付けて起動する必要があるようです。

    ibus-daemon -d -x --panel=/usr/libexec/kimpanel-ibus-panel 

    一時的に表示を確認して見るには下記を実行すれば良いかと思います。

    pkill ibus-daemon && ibus-daemon -d -x --panel=/usr/libexec/kimpanel-ibus-panel 

    plasma-5.20-kimpanel-ibus.png

    常に kimpanel を使用する場合には、/etc/locale.conf の内容を下記のように修正すれば良いかと思います。

    XIM_PROGRAM="ibus-daemon -d -x"
      ↓↓↓
    XIM_PROGRAM="ibus-daemon -d -x --panel=/usr/libexec/kimpanel-ibus-panel"

    (/etc/sysconfig/i18n にも /etc/locale.conf と同様の内容が記述されていますが、システム側がこの内容を読んでいないようで、こちらを修正しても反映されません)

    なお、Plasma デスクトップが起動した直後に kimpanel にアイコンが表示されていない状態になることがあります。この場合には、文字入力が可能な領域にフォーカスが移るとアイコンが表示されます。

【2021年2月25日 追記】

訂正します、Mageia 8 でも kimpanel はデフォルトでインストールされています。ただ上で述べたように、デフォルトの状態では ibus のアイコンが kimpanel には表示されていません。

2021/01/09(土)Mageia 7: 本日の野良リポジトリ (2021-01-09)

下記のパッケージを nora リポジトリに投入しました。

下記のパッケージを nora_test リポジトリに投入しました。

  • mozc-2.26.4237.102-3
    • Mozc を 2.26.4237.102 へ更新しました。
    • Debian unstable の mozc パッケージからパッチを拝借してきて uim-mozc を生成するようにしました。
    • 郵便番号のデータを2020年12月28日版へ更新しました。
    • その他、細かな修正を行っています。
  • mozc-ut-neologd-2.26.4237.102-3.20201229.1
    • UT NEologd Dictionary を 20201229.1 へ更新しました。
    • その他、mozc パッケージと同様の更新を行っています。

2020/12/16(水)Mageia 7: 本日の野良リポジトリ (2020-12-16)

下記のパッケージを nora_test リポジトリに投入しました。

  • mozc-2.26.4220.102-2
  • mozc-ut-neologd-2.26.4220.102-2.20201129.1
    • Mozc を 2.26.4220.102 へ更新しました。
    • fcitx-mozc を現時点での最新のリビジョン(1882e33)へ更新しました。
    • Fcitx5 に対応して fcitx5-mozc をビルドするようにしました。
  • fcitx5-5.0.3-1
  • fcitx5-gtk-5.0.1-1
  • fcitx5-qt-5.0.1-1
  • fcitx5-configtool-5.0.1-1.873aea6
    • Fcitx5 を動作させるのに必要最小限と思われるパッケージ群を新たにビルドし、Mageia 7 で Fcitx5 を試用できるようにしてみました。なお現時点では、Fcitx5 で使用できる日本語入力エンジンは Mozc のみを提供しています。
    • fcitx5-configtool は現時点での最新のリビジョン(873aea6)を用いてビルドしています。
    • 本来ならば fcitx5-configtool で提供されるはずの KDE 用の設定モジュールは、今回のパッケージではビルドしていません。
      これは Mageia 7 の KDE Frameworks のバージョンが 5.57.0 と少々古く、fcitx5-configtool が要求する 5.68.0 以上という条件を満たさない為です。とは言え Qt5 版の設定ツールは動作するので、実用上は問題無いと判断しました。
    • いずれのパッケージも KDE 環境でしか動作確認を行っていません。他のデスクトップ環境にインストールされる場合にはご留意ください。(_ _)
    • Fcitx5 関連のパッケージは他のディストリビューションでは細かくサブパッケージ化を行っている例も見受けられますが、今回のパッケージではテスト的なビルドということもあってサブパッケージ化はほとんど行っていません。
  • xcb-imdkit-1.0.1-1
    • fcitx5 をビルドするのに必要なため、新たにビルドしました。
  • setIM-2.5-1
    • 拙作のインプットメソッド設定ツールの setIM を Fcitx5 に対応させました。

2020/11/30(月)Mageia 7: 本日の野良リポジトリ (2020-11-30)

下記のパッケージを nora_test リポジトリに投入しました。

  • mozc-2.26.4206.102-1
    • Mozc を 2.26.4206.102 へ更新しました。
    • fcitx-mozc を最新のリビジョン(8441a67)へ更新しました。
    • 郵便番号のデータを2020年11月30日版へ更新しました。
  • mozc-ut-neologd-2.26.4206.102-1.20201129.1
    • Mozc を 2.26.4206.102 へ更新しました。
    • fcitx-mozc を最新のリビジョン(8441a67)へ更新しました。
    • 郵便番号のデータを2020年11月30日版へ更新しました。
    • Mozc UT NEologd Dictionary を 20201129.1 へ更新しました。
      なお、20201129.1 では Mozc UT NEologd Dictionary としての単体での提供はされていません。そのため今回のパッケージでは、Mozc UT Dictionary をリビルドして Mozc UT NEologd Dictionary として使用しています。
      具体的には、Mozc UT Dictionary を構成する複数の辞書の内、パッケージとしてバイナリーで再配布する際にライセンス上の問題が生じない Apache-2.0 なライセンスの NEologd と jinmei-ut の2つの辞書のみを有効にしてリビルドしています。

[2つのパッケージに共通の注意点]

Mozc は今回の 2.26.4206.102 から、設定ファイルやユーザー辞書のデフォルトの置き場所が、従来の $HOME/.mozc から $HOME/.config/mozc へと変更されました。
ただし、環境変数 XDG_CONFIG_HOME が設定されている場合には、$XDG_CONFIG_HOME/mozc が置き場所となります。
また、既に $HOME/.mozc が存在する場合にはそれが使用されます。